Book Review’S ~本は成長の糧~ -5ページ目

千円札は拾うな。

千円札は拾うな。 千円札は拾うな。
安田 佳生

サンマーク出版 2006-01-20
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★★★★★☆☆☆☆☆

つ、ついに!会社がはじまりました。今日は、本社に行って新年一発目の総会でした。気持ちも引き締まります。朝会で今年の抱負を述べる機会があったのですが、そこで一日一冊の本を読むことを明言しました。これでしっかりと責任を持たないといけません。レバレッジ・リーディングで学んだ”多読”という方法で、多くの知識と教養を身につけて知恵に結びつけたいと思います。

本日はワイキューブの社長が著者の「千円札は拾うな」です。この本は発売されて一年近く経っているのですが、夏に購入して途中まで読んでいながら忘れていました。就職活動でも受けて、見事に落ちた会社なのですが、あらためて社会人として会社を見てみると(同じような業界に身を置いたからなのか)、あんまり実態が見えない会社ですね。

先ほど、感想を書く前に参考にホームページを見ようとしたのですが、トップページが真っ白だったのには驚かされました。否定したいわけではないのですが、文章全体に整合性を感じられない箇所も見受けられて、少し首を傾げながら読んでしまいました。もちろん、書かれている内容でうなずける箇所も多くあるので、それを受け止める読者次第ということはあるのでしょうね。

一番賛同できた箇所としては、

今は、人と違う結果を出すためにはどうすればいいのかについて、
新しいやり方を考え、実行することが「勤勉」であり、
もっとも短い時間で成果を出すための工夫をすることが「努力」である。

があります。現在の自分と勤めている会社の方針を照らし合わせると、できていない自分を自覚します。つまり、頑張っているけれど、それは”がむしゃら”という言葉が似合う不細工なものです。新卒だからそれでも良い、新卒としては結果がついてきている、として妥協することは簡単ですが、僕に今必要なことは、上記のやり方によるステップアップだと痛感しています。

全体として、「新しいこと」「めずらしいこと」をすることが最重要である、という論調が見て取れました。しかし、個人的には積み上げるからこそ育つものも世の中には数多く存在していると思うのです。古いものを捨てることの美化(と言うと言い過ぎかもしれませんが)に終始し、それが全てであるといったところ(少なくとも僕にはそう受け取れました)は賛同できませんでした。

いつにもなく、辛口の感想になっていますが、これも僕個人の凝り固まった頭が導き出した結果であるとも言えます。つまりは、アイデアは既存の物の組み合わせによって生み出されるという「アイデアのヒント」に書かれていた考えに強く賛同しているからです。また”温故知新”という熟語が好きなせいもあるかもしれません。

感想を書く前は、ここまで書くつもりがなかったのですが、勢いでもう少しお付き合いください。ようは二歩先、三歩先を見ることばかりに気を取られてしまって、目の前に落ちている小石や広がっている穴を見落としてしまわないのかという心配です。

最後にもうひとつ大賛成だった言葉を引用させていただきます

どんな人生の、どんな状況においても、私たちはリスクと無縁ではいられないのである。

勢いで書き上げてしまったので、散文してしまっておりましたらすみません。しかし、短い時間で質の高い文章を書き上げる訓練の意味でも敢えて30分(今回の所要時間)で毎日更新していこうと思います。そうしないと毎日更新できないですしね。

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人魚の涙: 安田佳生《千円札は拾うな。》

螺鈿迷宮

螺鈿迷宮 螺鈿迷宮
海堂 尊

角川書店 2006-11-30
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★★★★★★★☆☆☆


今日は、冬用のスーツを買いに行きました。冬用スーツを一着しか持っていなくて、昨年中は完全に夏服で過ごしていたのですが、やはり冬は冬用のスーツを着ていないと営業先では良く思われないのでしょうか?あまりお金のない自分としては切実な問題です。

今日は、「チームバチスタの栄光」ですっかりハマってしまった海堂尊さんの第三作目である「螺鈿迷宮」です。この本は「チームバチスタの栄光」「ナイチンゲールの沈黙」とは違い角川書店から発刊されています。そのため、シリーズを読んだことのない人でもすぐに楽しめるように丁寧に書かれています。また、シリーズを読んでいる人でも楽しめるしかけがところどころで書かれているので、今回もエンターテインメント作品としては満足度が高いです。

歴史ある病院であり、緩和ケアで画期的な取り組みをしていることでマスコミに取り上げられている桜宮病院。その病院が最近怪しいという情報が新聞社で勤める葉子の耳に入ります。そこで、今作品の主人公であり、葉子の幼馴染である医学生”天馬大吉”が潜入させられます。

シリーズで大人気の白鳥も医者として登場し、”氷姫”こと姫宮もナースとして登場します。今回は姫宮が大活躍でした。良い方向に期待を裏切ってくれる姫宮のキャラクターで、途中で少ししつこくも感じてしまいましたが、全体的に程よいスパイスを効かせていました。

終末期医療を題材にした小説であり、仕事でそのような政策などに敏感なのでその観点からも面白く読めました。逆に、このような医療関係の事情についてあまり興味のない人にとっては、それ以外での部分がありきたり過ぎて、退屈かもしれません。僕はこのシリーズはミステリというよりはエンターテインメントと思っているのですが、今回のオチも推理の必要がないシンプルなものでした。

それでも、医者をしながらある程度の質を保ち、これだけのペースで書籍を発刊できるのは素晴らしいです。あとがきでも書いていたように構想は何年も前から持っていないとできることではないということですね。

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DIARY 螺鈿迷宮
本と映画の雑談室: 海堂尊著「螺鈿迷宮」角川書店
螺鈿迷宮(海堂 尊)-ペンギン村の住人
凡人日記 螺鈿迷宮
Doodling the anxiety 螺鈿迷宮
HONG-KONG-CAT 海堂尊「螺鈿迷宮」

セックスボランティア

セックスボランティア セックスボランティア
河合 香織

新潮社 2006-10
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★★★★★★★☆☆☆
いきなり、ブログの更新があやしくなってしまいました。休日の方がなんだかダラダラとして一日が過ぎてしまいますね。

今日、読んだ本は単行本でベストセラーだった「セックスボランティア」です。文庫本が本屋で発売されているのを見て、購入しました。「セックスレスキュー」という本を以前に読んでいたのですが、著者のスタンスは似ているな、という印象を受けました。つまりは、著者が当事者ではなく、体験せず、見たことと聞いたことから自分の考えを含めて記述しているという点です。

障害を持っていても普通に性欲はある。それを認めない社会によって、その人たちは常に我慢し、抑圧されてきていた。しかし、少しずつサービスのバリエーションが広がり、周囲の理解も深まって、障害者にも利用可能な店が出てきている。たったそれだけのことについて書かれているのですが、さまざまな人へのインタビューには考えさせられるものがありました。

ただ、”障害者の方たちは大変だ、かわいそう”ということを伝えたいというわけでも、読者にそのような考えを持ってほしいというわけでもないと思います。しかし、その先にある求められているもの、考えていかないといけないことっていうのは靄がかかっている状態です。

「セックスレスキュー」とは違うと感じたところは、著者が自身がまだ踏み込めていないところがあり、力不足であることをしっかりと正面から向き合って書いているところではないかと、あとがきを読んで思いました。

仕事で施設などに行く機会があるのですが、やはり頭で理解をしていて、納得していても実際に目にしたときの自身の反応は理想通りにはいかないものです。そこまでをしっかりと認めた上で、とることのできるアクションを考えてくことは非常に大切なのだと思います。

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レバレッジ・リーディング

レバレッジ・リーディング レバレッジ・リーディング
本田 直之

東洋経済新報社 2006-12-01
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★★★★★★★☆☆☆

あけましておめでとうございます!!

昨年は、社会人としての第一歩を踏み出し、仕事に慣れていくにつれて、時間の余裕が出来なくなってしまっていました。結果として、ブログの更新もかなり頻度が減ってしまっていました。今年の目標は、まだ一年目は終了していませんが、慣れてきつつある仕事を効率的にこなすことによって、時間を作り出すことです。出来た時間を使って、読書&ブログ更新を頑張っていきます。三歩進んでは二歩以上戻ってしまうような、成長のなかなかできない僕ではありますが、亀のスピードでも成長できることを目指します。

ということで、今年の本ブログでの計画・目標としては

1.毎日更新 *飲み会の日は検討。。
2.自分の視点で感想を伝えることで、読み手に良い本は読みたいと思ってもらえるようにする
3.小説とその他(ビジネス書・エッセイ・啓発書など)の比率を3:7にする


としていきたいと思います。

新年の一冊目は、「レバレッジ・リーディング」です。この本が発売されたことを知ってから、2007年の読書生活を始めるにあたって是非読んでおきたいと思っていました。漠然と、どちらかというと無計画に進めてきていた読書生活に何らかの指針を与えてくれると期待したからです。大きな衝撃を受けるほどの発見はありませんでしたが、ひとつの大切な考え方を提示してもらいました。

それは、本書のタイトルにも関係している

”読書は自分への投資”

ということです。また”この投資はマイナスになることはない”。”時間がないから読書ができないのではなく、読書をすることによって時間が作れるようになる”ということも非常に勉強になりました。

本を自分で購入することで、集中して読書に臨むことができる、という点までは理解していたものの、はじめの方で面白くないと感じたものは捨てることも大切、という考え方は持っていませんでした。

本書で書かれている線を引いたり、ページの端を折るということはやはり抵抗があるので、引き続き付箋を貼ることによって対応します。しかし、読後にメモを取り、何度も繰り返す読み返し、実生活に生かしていくという行為は今の僕にとって一番大切なことだという発見に至りました。

多読投資実践

このキーワードを頭に入れて、今年の読書生活を充実したものにしていきたいと思います。

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株・本・モノが好きな日記:レバレッジ・リーディング

九月の空

九月の空 九月の空
高橋 三千綱

角川書店 1978-05
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★★★★★★★★★☆

新宿鮫

新宿鮫 新宿鮫
大沢 在昌

光文社 1997-08
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★★★★★★★★☆☆


今日は社長が事業所まで足を運んでくれて、ご飯もご馳走になってしまいました。入社以来、ほとんど話す機会がなかったんですが、そもそも今働いている会社は自分から積極的に話しかければ、簡単にコンタクトの取れる職場であることを考えると、ただただ自分が接触をしていなかっただけ、というわけです。

約2日がかりで読み終わった本がこの作品です。今まで大沢氏の作品は一冊も読んだことがなかったのですが、「新宿鮫」シリーズの最新作である「狼花」が人気なので、シリーズ全部を読むかどうかを決めるつもりで読んでみました。

新宿の防犯課の刑事として働く”鮫島”は元キャリアの警部。胸にたぎる正義を貫くために、組織ぐるみ、身内意識の強い警察組織に単身で反発した結果、素晴らしい実績(検挙数)と頭の良さを持ちながらも、新宿で刑事を続けます。

飾らない言葉と、限りなくリアルに描いている(あくまで想像ですが)警察のシステム、背景などがとても読みやすいです。また、鮫島、恋人の”晶”、重要人物である銃の密造者”木津”、上司のマンジュウこと”桃井”などのそれぞれのキャラクターもしっかりと立っていて良いです。刑事マニアの彼の役割、落としどころはよくつかめませんでしたが。

大掛かりなトリックや、伏線なども用いず、それでいて読み手を飽きさせることのない文章力が素晴らしいです。構成を大掛かりにしないままで飽きさせないということは、逆にその構成自体がしっかりとしているからこそ、安心して読めるとも言えます。

「池袋ウエストゲートパーク」での解説に「新宿鮫」が比較され、書かれていることがありましたが、見事に「新宿」という舞台を活かし、それぞれが動き回っている感じでした。それと、約10年前に書かれた作品なだけあって、連絡手段が常に公衆電話というのも時代の流れを感じさせてなかなか粋でした。

読んでいても疲れさせないこの作風ははまりそうです。まだ2作目は購入していませんが、古本で見つかり次第、随時読んでいこうと思います。うーん、小説の感想をもう少し掘り下げて、深い内容で書けるようになりたいですね。

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サウンドトラック

サウンドトラック〈上〉 サウンドトラック〈上〉
古川 日出男

集英社 2006-09
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★★★★★★☆☆☆☆



再開3日目にして早くも、一日一冊の読了が間に合わず。。。なかなか一日に一冊をキープすることは難しいものです。というわけで、休んでいた間に読んでいたストックから引き出してきました。

営業の途中でふと目にとまって買ってしまった一冊。「ベルカ、吠えないのか?」を読んでいたため、少なからず興味のあった作家の古川日出男氏。「ベルカ~」の印象が強かったので、ハードボイルドな作品を書く人だと思っていたのですが、この表紙でライトノベルも書く人なのか、なんて思って手に取ったのがそもそもドッキリだったわけです。この表紙は個人的に好きなのですが、本の内容と絵のタッチにギャップがありすぎて、読み始めてから衝撃を受けました。完全に古川ワールド(まだ1冊しか読んでいないですが)が展開されています。

やっと2作品目ですが、少なくともこの作品は読み手を選ぶ作品だと思います。ストーリーの展開に、登場人物の行動に、作品の世界観についていこうと必死になって、でもついていけなくて、もどかしいようでそれが心地良くて、最後の最後はわかったようでやっぱりわかっていなくて。といった爽快なのか不快なのかも判断つかない状態に陥ってしまいました。

つまりは、独特の文体や言い回し、比喩、フレーズなどに乗り切れず、疾走感というものを感じ取ることができなかったわけです。その点では、逆に何も考えずにただただ文字を追い続ける楽しみ方が古川作品のひとつの楽しみ方なのかもしれません。

2009年という近未来を舞台に、ありえそうでありえない東京の舞台を作り出し、その舞台にありえそうでやっぱりありえないキャラクターを走り回らせる。エンターテインメントとして完全に認識してしまうことも危ういし、限りなくリアルな未来を描き、警告する作品として真面目に捉えてしまうことも間違っている。この絶妙なバランス感覚、いやアンバランスさはまだまだ僕には荷が重いようです。

単純な感想としては、トウタが予想よりも普通のキャラクターだということにガッカリ。ヒツジコは逆にいい味を出していました。「オブセッション」の正確な意味を最後まで汲み取れなかったのは問題でしたが。レニも個人的にはどこに着地をさせたかったのか掴みにくかったです。

言葉の持つ魔力・神秘を感じ取りたいのであれば、イチオシの作品です。今度、再読する時は頭を空っぽにして読んでみるのも良いのかな。この独特の世界観に慣れるためにももう少し古川作品に触れてみようと思います。僕はこんな拙い感想しか書けないのですが、他の方の感想では「フィクショナルタイムズ」さんと「早トチリ感想文BOOKS」さんの内容がとても素晴らしくて感動してしまいました。

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ひとりよがり読書的日記 サウンドトラック
notes その小説は疾走する
フィクショナルタイムズ | 『サウンドトラック(上・下)』 古川日出男
カカオ99% 読んだのほんのこと」
早トチリ感想文BOOKS:サウンドトラック (小説:古川日出男)
rocketBooks | サウンドトラック again

きみにしか聞こえない

きみにしか聞こえない―CALLING YOU きみにしか聞こえない―CALLING YOU
乙一

角川書店 2001-05
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★★★★★★★★★☆


昨日から再開したこのブログですが、本日も会社で継続することを発表しましたので、頑張って続けていきたいと思います。とりあえず、通勤の時間が本社勤務の時よりも少し増えたのと、座れる機会が増えたので頑張れば、一日に一冊読んでいくことはできそうです。ただ、小説の割合が多いのは以前と変わりませんが(汗)

あっという間にファンになってしまった乙一さんの作品です。角川スニーカー文庫といことがあって、ホラーのような内容ではなく、どの作品も少し切なくなるストーリーばかりです。

☆Calling You☆

話すこと自体を恐れている少女”リョウ”は、かける相手もかけてくれる相手もいないために持つことのできない携帯電話に憧れ、頭の中で自分だけの理想の携帯電話を想像して、楽しんでいた。それを続けていた時、ありえないことが起きて。。。

ストーリーの展開としてはすごくシンプルで、乙一さんらしいライトなファンタジーの設定も好感が持てます。そして、普通だと、結論でどんでん返しを期待するものですが、結末が乙一さんらしくて、ある程度予測できるところも、逆に好きです。

このストーリーの中で出てきた「本心のない言葉」というフレーズが心にひっかかりました。現代は便利になったけれど、余計に飾り付けた言葉でコミュニケーションを取るように苦心して、時間をかけているように思います。シンプルな飾らない言葉を使い続けることは、今の世の中では難しい。でも、時にはそういった飾らない言葉をぶつけて、また飾られた言葉から本当の伝えたいことを受け取る努力をしていきたいものだと思います。

★傷★

恵まれない家庭環境の中で苦しく、辛い経験を重ねてきた”オレ”と”アサト”の二人。”アサト”の優しさ・純粋さから生まれた特殊な能力によって、多くの人を救っていく。そんな中、さんざん”オレ”にひどいことをしてきた”オレ”の父親が重病で亡くなって、”アサト”の真実を知る。。。

本書に収録されている三つの作品の中で一番好きな作品です。設定は小学生のはずですが、苦しい環境の中で同世代よりも達観してしまった、大人びた二人の姿が哀しくさせると共に、結末のあまりのキレイさに心が洗われるようでした。一作目と同じく、設定も堅苦しくない、わかりやすいフィクションで時間を忘れて読むことができます。

無垢だから、社会の汚さに傷つけられ裏切られてしまう。でも、それによって救われ、励まされる人間もいるということ。誰しもが生きていくこと自体を器用にこなすことはできなくて、どこかでぶつかったり、苦しんだりしているけれど、それを全部ひっくるめて人生があるんだな、となぜか感慨深い気持ちになりました。

☆華歌☆

交通事故によって、最愛の人をなくした”私”は病院の中で絶望と共に日々を過ごしていた。入院生活の続く中、病院の庭から聞こえてくる歌声のでどころを探して見つけると、そこには。。。

あとがきでも乙一さんが書いているように、少し毛色が違う作品に仕上がっています。結末も個人的にはあまり好きではないです。結末と言うよりは結末にもっていくために、作品全体が少し無理している感じがあまり好きになれないのかもしれません。

二作目に引き続き、引いた視点で見れば人生について書かれています。人生には光と影、山と谷、希望と絶望がそれぞれ有り、どちらかが強くなる時もあれば、何もない時もあります。人はえてして、辛い時に実際以上に強く、大きく感じてしまうもの。それを乗り越えることが良いのかもしれませんが、一概に正しいとは言えないのかもな、なんてことを考えました。

挿絵もすごくキレイで、1時間ぐらいで読めるボリュームと、時間を忘れさせてくれる内容の良質さに感動を覚えました。ファンタジーのようでありながら、リアルな問題の本質についても言及している作品だと思います。乙一作品を読破したい、と思ってしまいました。

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萌えを得たオタのごとく!2 乙一「きみにしか聞こえない―CALLING YOU」紹介
好きなものはすきっ | きみにしか聞こえない―CALLING YOU
閉鎖回路: きみにしか聞こえない―CALLING YOU
きみにしか聞こえない/乙一|moody
グラスハート ブログ 乙一 『きみにしか聞こえない』 角川スニーカー文庫
ブルカロニの実験室: ほんなはなし[26](きみにしか聞こえない)
*Reading history* きみにしか聞こえない―CALLING YOU
Hobby's Station Movie Info:小説『Calling You きみにしか聞こえない..
ブログ de ビュー きみにしか聞こえない / 乙一
STARLET きみにしか聞こえない Calling you 感想

若者はなぜ3年で辞めるのか?

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来 若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来
城 繁幸

光文社 2006-09-15
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★★★★★★★★☆☆

ご無沙汰しております!!大体、二ヶ月間ほど放置プレーしておりました。仕事が忙しくなってきて、ついついおろそかになってきていたのですが、最近も仕事に慣れてきて、毎日の生活が退屈になってきましたので、もう一度原点に返りまして、読書を本格的に再開することにしました。これからも、拙い読書感想を書き綴るだけのブログですが、お付き合いのほどよろしくお願いいたします。

さて、今回の一冊は会社からの帰りで目に付いて購入しました。仕事に対して少しモチベーションが下がってきていた時期だったので、余計に目に付きました。この本のメインテーマは副題にも書かれているように「年功序列」です。「年功序列」の光と影、メリットとデメリット、もたらした結果について鋭く指摘し、今の日本の雇用について言及しています。

といっても、難しい内容ではなく、それぞれ感tなんな説明と具体例、インタビューなどが記述されているので、誰でも気軽に読むことができます。このタイトルだとやはり「若者」が手に取ることが多いと思いますが、読後の感想としてはどの世代にも、特に40代・50代のサラリーマンをしている方々にも目に留めて欲しい一冊だということです。

「年功序列」と「成果主義」は相反するもののように見えて、実態はそうではないということ。「年功序列」の継続によって生まれた弊害。後継となるべき若者への負担の増加など、考えさせられるものが多分にありました。「年功序列」という一本のレールはほとんどの業界でガタつき、途絶えている、というのが本書の論旨の一つです。

実際に、僕ぐらいの年代ですと、そういったことを強く感じている人も少なくないと思います。本書でも書かれていますが、何よりも不幸な人たちはバブルの時代に就職をした人々です。少しの例外を除けば、人は環境によって作られてしまいます。その時代の環境、つまりはバブル期の学生が売り手市場だった時に就職していれば、僕も同じ苦労をする人間になっていたはずです。

現在のキャリアパスとしてベター(ベストではない)もののひとつとして、専門職とマネジメント職を明確に差別化し、違う評価基準を設けるというものが提案されています。実際に僕の会社でもその人事制度を導入していく段階にあり、時代の流れに合った良い制度であると思います。ただ、僕の会社はまだまだ若い会社だからできることですが、大企業だと一つの制度を変えるだけでも膨大なエネルギーを必要とすることから、なかなかこのような社会の流れに対応していくことは難しいのでしょう。

本書の最後の方に書かれている、現代の社会に生きる者達が持てる可能性が高くなっている一つの宝物についてよくよく考えていかないといけない時期が来ているのだと思います。それは、

「自分で道を決める自由」

です。日本の詰め込み式の教育・受験戦争・学歴社会によって夢と希望を置き忘れてきた多くの人たち(自分も含めて)こそ、一度立ち止まって、自分の「働く意味」「生きる意味」と向き合うことが重要なんですね。

個人的に著書で好感を持てるのが、「若者」に原因があるとはせず(実際はあるかもしれませんが)、あくまでも客観的に事実から考えられる結果を展開して論述されている点です。

この本を読むことで、著者の書いている通り僕は元気をもらいました。この本によって息が詰まるくらいに辛い気持ちになる方もいるかもしれませんが、その気持ちになることも次のステップに進むためには必要な過程ではないのでしょうか。とにかく若い人も会社を定年退職した人も、もちろん子供がいる30代・40代の中堅の方々も読んで欲しいと思います。ただ、政治家や利権にしがみつく人たちにとっては、わかりきった上で行動しているかもしれませんが。

仕事が忙しくなってきているのは変わりませんので、出来る限り毎日更新するためにも、基本的には文章の見直しはしません。そのため、まとまりのない読みにくい内容、わかりにくい感想になることもありますが、ご容赦ください。基本的に受信と発信の繰り返しによってスキルアップをしていくことを改めて目指していきたいと思います。

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仮想本棚&電脳日記:若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来/城繁幸
若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来/城 繁幸 今日のご飯はなあに
Tシャツ行政学@horisan.net | 「若者はなぜ3年で辞めるのか?」を読む
20代の成長戦略・時間戦術 若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来
OFFICE SAGAWA: 城繁幸「若者はなぜ3年で辞めるのか」
ゆうやけ公園通り:若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来
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サラリーマン副業! 脱サラチャレンジ | 今、話題のベストセラー「若者はなぜ3年で辞めるのか?」

ナースな言葉

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宮子 あずさ

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