新宿鮫 | Book Review’S ~本は成長の糧~

新宿鮫

新宿鮫 新宿鮫
大沢 在昌

光文社 1997-08
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おすすめ平均

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★★★★★★★★☆☆


今日は社長が事業所まで足を運んでくれて、ご飯もご馳走になってしまいました。入社以来、ほとんど話す機会がなかったんですが、そもそも今働いている会社は自分から積極的に話しかければ、簡単にコンタクトの取れる職場であることを考えると、ただただ自分が接触をしていなかっただけ、というわけです。

約2日がかりで読み終わった本がこの作品です。今まで大沢氏の作品は一冊も読んだことがなかったのですが、「新宿鮫」シリーズの最新作である「狼花」が人気なので、シリーズ全部を読むかどうかを決めるつもりで読んでみました。

新宿の防犯課の刑事として働く”鮫島”は元キャリアの警部。胸にたぎる正義を貫くために、組織ぐるみ、身内意識の強い警察組織に単身で反発した結果、素晴らしい実績(検挙数)と頭の良さを持ちながらも、新宿で刑事を続けます。

飾らない言葉と、限りなくリアルに描いている(あくまで想像ですが)警察のシステム、背景などがとても読みやすいです。また、鮫島、恋人の”晶”、重要人物である銃の密造者”木津”、上司のマンジュウこと”桃井”などのそれぞれのキャラクターもしっかりと立っていて良いです。刑事マニアの彼の役割、落としどころはよくつかめませんでしたが。

大掛かりなトリックや、伏線なども用いず、それでいて読み手を飽きさせることのない文章力が素晴らしいです。構成を大掛かりにしないままで飽きさせないということは、逆にその構成自体がしっかりとしているからこそ、安心して読めるとも言えます。

「池袋ウエストゲートパーク」での解説に「新宿鮫」が比較され、書かれていることがありましたが、見事に「新宿」という舞台を活かし、それぞれが動き回っている感じでした。それと、約10年前に書かれた作品なだけあって、連絡手段が常に公衆電話というのも時代の流れを感じさせてなかなか粋でした。

読んでいても疲れさせないこの作風ははまりそうです。まだ2作目は購入していませんが、古本で見つかり次第、随時読んでいこうと思います。うーん、小説の感想をもう少し掘り下げて、深い内容で書けるようになりたいですね。

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