セックスボランティア
セックスボランティア
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今日、読んだ本は単行本でベストセラーだった「セックスボランティア」です。文庫本が本屋で発売されているのを見て、購入しました。「セックスレスキュー」という本を以前に読んでいたのですが、著者のスタンスは似ているな、という印象を受けました。つまりは、著者が当事者ではなく、体験せず、見たことと聞いたことから自分の考えを含めて記述しているという点です。
障害を持っていても普通に性欲はある。それを認めない社会によって、その人たちは常に我慢し、抑圧されてきていた。しかし、少しずつサービスのバリエーションが広がり、周囲の理解も深まって、障害者にも利用可能な店が出てきている。たったそれだけのことについて書かれているのですが、さまざまな人へのインタビューには考えさせられるものがありました。
ただ、”障害者の方たちは大変だ、かわいそう”ということを伝えたいというわけでも、読者にそのような考えを持ってほしいというわけでもないと思います。しかし、その先にある求められているもの、考えていかないといけないことっていうのは靄がかかっている状態です。
「セックスレスキュー」とは違うと感じたところは、著者が自身がまだ踏み込めていないところがあり、力不足であることをしっかりと正面から向き合って書いているところではないかと、あとがきを読んで思いました。
仕事で施設などに行く機会があるのですが、やはり頭で理解をしていて、納得していても実際に目にしたときの自身の反応は理想通りにはいかないものです。そこまでをしっかりと認めた上で、とることのできるアクションを考えてくことは非常に大切なのだと思います。
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