一瞬の風になれ 第一部 --イチニツイテ-- | Book Review’S ~本は成長の糧~

一瞬の風になれ 第一部 --イチニツイテ--

一瞬の風になれ 第一部  --イチニツイテ-- 一瞬の風になれ 第一部 --イチニツイテ--
佐藤 多佳子

講談社 2006-08-26
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★★★★★★★☆☆☆

気づけば、かなりサボってしまっていました。毎日、一冊の本を読むことで精一杯。それじゃ、何も自分の中に残らないからダメですね。たった数行でもいいから、読み終えた本について素直な感想を残せるように気合を入れなおします。

さて、本日は「本屋大賞」ノミネートの作品です。

サッカーが好きで頑張るけど、上手くならない”新二”。対照的に昔からサッカーではヒーローだった兄”健一”。そして、幼馴染で陸上界の神童”連”。彼らを中心に、新二と連の高校生活のスタートから物語りは進行していきます。

サッカーよりも熱くなれる何かを求めて、というよりも自分ではいつまでも辿り着けない遠いところにいる健一と違う世界に行くことを、連に背中を押される形で新二は陸上を始めます。

特別扱いされることを嫌う、ひねくれ者の連と、いろんな心情の変化の中で成長していく新二。いつまでも追いつけない連を兄の健一とダブらせながら、幼馴染として負けたくない新二は必死に追いかけます。

心理描写は嫌いではないんだけど、なんとなくストレート過ぎて、ストーリーにも山場がなくて少し残念です。でも、自分は陸上で長距離をしていて、短距離の面白さや醍醐味なども全然わかっていなかったので、そういったシンプルな喜びの描写は新鮮でした。なんとなく、小学校の頃に純粋に走ることが好きだった頃を思い出してしまいました。

本作は三部構成のためなのか、一部では大きな動きもなくて、次作への大きな前書きのような印象を受けました。

純粋で、動揺しやすくて、でもひたむきに前を見つめる新二の姿は青春を感じさせるにはピッタシなのかもしれないですね。なんとなく感想がひねくれた感じになってしまいましたが、悪くない作品であると思います。