サウンドトラック | Book Review’S ~本は成長の糧~

サウンドトラック

サウンドトラック〈上〉 サウンドトラック〈上〉
古川 日出男

集英社 2006-09
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おすすめ平均

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★★★★★★☆☆☆☆



再開3日目にして早くも、一日一冊の読了が間に合わず。。。なかなか一日に一冊をキープすることは難しいものです。というわけで、休んでいた間に読んでいたストックから引き出してきました。

営業の途中でふと目にとまって買ってしまった一冊。「ベルカ、吠えないのか?」を読んでいたため、少なからず興味のあった作家の古川日出男氏。「ベルカ~」の印象が強かったので、ハードボイルドな作品を書く人だと思っていたのですが、この表紙でライトノベルも書く人なのか、なんて思って手に取ったのがそもそもドッキリだったわけです。この表紙は個人的に好きなのですが、本の内容と絵のタッチにギャップがありすぎて、読み始めてから衝撃を受けました。完全に古川ワールド(まだ1冊しか読んでいないですが)が展開されています。

やっと2作品目ですが、少なくともこの作品は読み手を選ぶ作品だと思います。ストーリーの展開に、登場人物の行動に、作品の世界観についていこうと必死になって、でもついていけなくて、もどかしいようでそれが心地良くて、最後の最後はわかったようでやっぱりわかっていなくて。といった爽快なのか不快なのかも判断つかない状態に陥ってしまいました。

つまりは、独特の文体や言い回し、比喩、フレーズなどに乗り切れず、疾走感というものを感じ取ることができなかったわけです。その点では、逆に何も考えずにただただ文字を追い続ける楽しみ方が古川作品のひとつの楽しみ方なのかもしれません。

2009年という近未来を舞台に、ありえそうでありえない東京の舞台を作り出し、その舞台にありえそうでやっぱりありえないキャラクターを走り回らせる。エンターテインメントとして完全に認識してしまうことも危ういし、限りなくリアルな未来を描き、警告する作品として真面目に捉えてしまうことも間違っている。この絶妙なバランス感覚、いやアンバランスさはまだまだ僕には荷が重いようです。

単純な感想としては、トウタが予想よりも普通のキャラクターだということにガッカリ。ヒツジコは逆にいい味を出していました。「オブセッション」の正確な意味を最後まで汲み取れなかったのは問題でしたが。レニも個人的にはどこに着地をさせたかったのか掴みにくかったです。

言葉の持つ魔力・神秘を感じ取りたいのであれば、イチオシの作品です。今度、再読する時は頭を空っぽにして読んでみるのも良いのかな。この独特の世界観に慣れるためにももう少し古川作品に触れてみようと思います。僕はこんな拙い感想しか書けないのですが、他の方の感想では「フィクショナルタイムズ」さんと「早トチリ感想文BOOKS」さんの内容がとても素晴らしくて感動してしまいました。

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