Book Review’S ~本は成長の糧~ -6ページ目

インベストメント ハードラー

インベストメント ハードラー インベストメント ハードラー
為末 大

講談社 2006-07-26
売り上げランキング : 500
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★★★★★★★★☆☆

昨日の早朝というより深夜からの雷雨以来、涼しくなってきましたね。今日もパンツ一丁で寝ていたら、寒かったのか朝から鼻水が止まらなくて大変でした。夜は鈴虫の鳴き声も聞こえてきますし、少しずつ秋が深まってきていますね。休日には紅葉を見に行きたいものです。

今日、読んだ本は何となく気になっていたアスリートの為末さんが書かれた本です。タイトルと帯のフレーズの「30万円が2000万円に増えた話」ということで、全くジャンルの違う投資の話を書いたのか!と思って好奇心で読んでしまいました。まぁ、この本を知ったのはR25がきっかけなんですけど。

内容としては完全に投資一本に絞った内容ではなく、為末さんの少年時代から遡り、お金に対する考え方、陸上人生を踏まえながら人生全体に役立つこともふんだんに散りばめられています。もともと専門外である投資についての書物ということで、背伸びをせずに等身大の自分を書き表した内容が好印象でした。

要所要所で出てくる、為末さんの考え方に賛同・共感できます。一番共感できたところは、一方に偏った考え方に触れて持ってしまうのではなく、正反対の意見や考え方を知り、自分なりの答えを導き出す「バランス感覚」を常に意識し持ち続けることが大切であるということです。

少年時代のファミコンソフトの売買によって利益を生み出すことを発見した為末さんの利発さ、着眼点、分析力は素晴らしいと思います。僕自身、似たようなことはしてましたが、為末さんのようにいろいろな店を回って買い溜めや売り時を見極めたりすることなんて思いもよりませんでした。

少年時代のエピソードだけでなく、陸上人生の中でも為末さんの素晴らしいと思うところは、ひとつひとつを論理的に分解して理解していくところにあると思います。それは自分自身の体についても同様です。何故、自分が早く走れないのか。何故、今回の結果が悪いのかを自分自身の言葉でしっかりと説明できています。そういった明晰な頭脳がAPFの此下会長に興味を抱かせ、親身に相談したくさせたのではないかと思います。

飾らないシンプルな言葉で、お金に対して、投資に対して、生き方に対して述べられています。良い言葉がたくさんあったので、いくつか引用します。

私はむしろ、投資こそが正しい姿だと思うのです。それは、立場が対等だからです。

これは、先進国と途上国だけに当てはまることではなく、身近なところでは子育てでもあてはまるのではないかな、と思いました。あまりにも投資しているという意識が親に強ければ問題ですが。。。

注意すべきは、根拠のない自信を持たないことです。

時として、根拠のない自信でも持つことが大切だとは言いますが、そこにはもう一つ

危険であると認識しているうちは、安全である

ということも理解していることが大切であると思います。また、出来る限り自信と言うものは何か根拠があって持てている方が土台もしっかりして揺るがないと、当たり前のことですが思います。

お金とは「現代の刀」だと思っています。抜くと、たしかに危険がある。刃こぼれしてしまうかもしれない。人を傷つけてしまうかもしれない。価値を落としてしまうかもしれない。しかし、抜かないと錆びてしまうのです。

この一文が為末さんのお金に対する考え方をひっくるめて表現しているんじゃないかな、と読み終えた感想として持ちました。

スポーツは崇高なものだから、プロスポーツ選手はスポーツのことだけ考えて、勝つことだけをひたすら追い続ければ良い、という枠組みに囚われることなく、自身の思うままに行動し続ける為末さんは素敵な人だと思います。

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常歩(なみあし)村: 為末大『インベストメント・ハードラー』
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ねじの回転―FEBRUARY MOMENT

ねじの回転―FEBRUARY MOMENT ねじの回転FEBRUARY MOMENT
恩田 陸

集英社 2002-12
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★★★★★★★☆☆☆


今日は一日中家に居て、テレビ見て、昼寝して、DVD見て、読書して、とのんびりと過ごしました。たまにはこういう休日もいいですよね。って毎週のようにしているか。。。

久しぶりに恩田陸さんの作品を読みました。ジャンルはSF、系統は「ライオンハート」にすんごいよく似ている。全体的に悲哀を感じさせるところも恩田さんらしいなぁ、と思いました。

受験勉強をしてこなかったために、日本史も世界史も疎いため、事件の舞台である「二・二六事件」について全く知識がなかったのですが、それでも非常にわかりやすく読めました。前半は恩田さん独特の行きつ戻りつ、飛んだりしての伏線を織り交ぜながらの展開に付いていくので精一杯だったのですが、上巻(文庫本を読んだので)の終盤から完全に惹きつけられてしまいました。

時間を逆行して歴史を変える技術を手に入れた人類が、過去に遡って歴史を変えようとする。その行為が未来である「現在(いま)」がより良いものになると信じて実施された「聖なる暗殺」。しかし、結果は手を加えるよりも悲惨な状態に。それを修正するために、同じ技術を使ってひとつひとつ「修正」し「確定」していく。

逆賊として殺されるという悲惨な結果を知っていながら、その結末に向かって史実通りに行動を求められる安藤・栗原。そしてその先の歴史を知って、変えることを目論んでいる石原。三人が懐中連絡機を手渡され、各々が歴史を運命を変えるために行動していく。その緊張感がたまらなく良かったです。

個人的には、最後の不一致までが最高でした。最後の伏線の回収も恩田さんの才能ならではの見事さだったのですが、あまりにも鮮やか過ぎてちょっと冷めちゃった感じです。栗原の想い、無念を晴らしてあげて欲しかった。

過去に遡ることができる時、人は必ず過去を変えることを前提として、どこに遡るかを考えると思います。しかし、「修正」し「確定」するためのメンバーはあくまでも史実通りに行動することを求められる。しかし、実はそれも実行側の都合の良いように行われているという裏があって。。。

SFで、ライトノベルでありながらも、日本史に触れ、現代のアメリカの世界の抱える問題に触れ、時間を自由に操るという人間の究極の欲望についてをテーマとしていて非常に内容の濃い作品でした。でも、恩田さんの作品は常野物語のようなファンタジーの方が好きかな。

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ほしの図書館 (本と映画の部屋) 「ねじの回転」 恩田陸
りんごの内緒バナシ:『ねじの回転(上/下)』
ひよこまめ ねじの回転
- Duet's Weblog in Doblog -
From るんるんタイコ 『ねじの回転』
[ 『ねじの回転』恩田陸★★★] by 読書睡眠ネコイジメ(+自転車)
ねじの回転|読書日記
こんな1日でした。:ねじの回転

骨音 池袋ウエストゲートパーク3

骨音 池袋ウエストゲートパーク3 骨音 池袋ウエストゲートパーク3
石田 衣良

文藝春秋 2004-09-03
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★★★★★★★★★☆

最近は小説ばかり読んでいます。頭を使いながら本を読むのができなくなってきました。仕事で疲れているのかな。。。いろんなジャンルの本を読んで、感想を書くことを目的に作ったブログなので、初心に戻って頑張りたいとは思います。

先に「灰色のピーターパン」の感想を書いてしまいましたが、シリーズの第三作目の「骨音」の感想です。第五作目の「反自殺クラブ」はまだ読んでいないのですが、シリーズの中では一番好きな作品が集まっています。

一番良かったのは、「西一番街テイクアウト」で、次は「西口ミッドサマー狂乱(レイブ)」です。「西一番街テイクアウト」はおふくろが大活躍だし、タカシとサルもどちらかというとマコトの友達という立場で協力しているのが良いです。そして、香緒とヒロコの凸凹親子が何とも言えない温かみを出してくれていました。メンツを守り続けないといけないヤクザの世界は大変だな、と。

「西口ミッドサマー狂乱」はマコトが大きく成長した作品だと思いました。トラブル解決のために自分のアイデアで勝負する。そして、トワコとエディとの出会いと別れ。マコトがどこまで成長してしまうのか、といらぬ心配をしてしまうほどに大活躍していました。

要所要所で出てくるマコトの心境、ひとりごとがマコトのキャラクターを色づけていて好きです。

「間抜けの振りをしておくほうがいいだろう。無理に演じなくても、地のままでいいから、おれの場合ラク」
「確実な証拠をつかむまでホリイのことは話さなかった。仮にやつが白だった場合、オコノギに悪印象を残してやつのキャリアを潰したくはない」


こんな人間いるのかぁ?と思わせるあたりのバランスの取り方が石田さんは上手いんですね。

ついつい小説の感想になると、あらすじを追って簡単に感想を書くだけになってしまうのえ、文庫版での解説のような知的な感想を書くように頑張らないといけませんね。。。

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「骨音 池袋ウエストゲートパーク3」 石田衣良 (文藝春秋)|読むのは誰か?
石田 衣良 著『骨音 池袋ウエストゲートパーク3』|秘書OL キレイのヒ・ミ・ツ☆
ゆきてかえりしひび――in the JUNeK-yard――:骨音 池袋ウエストゲートパーク3
続・心ノ琴線ニ触レルモノドモ 「骨音」
『骨音-池袋ウエストゲートパーク3』 石田衣良 [馬に蹴られて]
骨音 -池袋ウエストゲートパークⅢ- 石田衣良 白ブタさん
『骨音』|引越中
ジャムリン笑顔で懸賞:骨音

あなた、今、幸せ?

あなた、今、幸せ? あなた、今、幸せ?
槇村 さとる キム・ミョンガン

集英社 2005-06-17
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★★★★★★☆☆☆☆

昨日はアメブロが上手い具合に表示されなかったので、二つ連続での更新です。この調子で毎日更新できるといいんですけどねぇ。。。なかなか時間を作ることができないので難しいです><

「セックス・レスキュー」を読んで以来、キム・ミョンガンさんが気になって仕方がなかったので、奥さんである槇村さとるさんの本を手に取りました。キム・ミョンガンさんは本の中でコラムとして書かれている程度だったので、少し残念でした。

明らかに女性向けに書かれた本だったのですが、いろいろと考えさせられる箇所もありました。特に前半は教訓、人生に役立つこと、心がけておくべきことなどがたくさん書かれていて充実していました。ただ、ひとつだけ問題だったのは、文面に「セックス」という単語が比較的多く書かれていたことで、電車の中で読んでいたので冷や冷やしながら読んでいました。

前半は非常に密度が濃かったのですが、後半からはどちらかというとキム・ミョンガンさんとのノロケ話みたいになってきて、正直話の落としどころをどこに持っていきたいのかが掴めない感じになったのが残念でした。

一番印象に残ったのは、冒頭のはじめにです。

「○○したいけれどできない」と言う人は実は○○したくない人である。現状に不満はあるが現状を変える勇気はない。「でも、でも、」と言う人に本心はない。「私」がないのだ。

私にとって幸福とは、自分で感じ、自分で考え、自分で選択肢、自分で表現する自由があること。


この二文が非常に心に響きました。そして、深く反省しました。自分自身をよく知り、よく見つめ、語りかけることで本当に何がしたいのか、何が必要なのかを確認することがどれだけ大切なのかを教えてくれる一冊です。

槇村さとるさんの人生観を垣間見ることのできる作品で、その中から多くのことを学ぶことができます。一人の、ひとつの生き方の参考として読むことをオススメします。この本を読んで反省する人、自立について真剣に考え直す人も少なくないのではないかと思います。でも、あまりにも強気な文体だから反発とか受け付けない方もいるかもしれないですね(苦笑)

たまにはこういうエッセイも読んでみるのもいいですね。特に女性のエッセイは今まで自分が知らなかった世界を見せてくれる感覚で新鮮です。

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+ ChiekoaLibrary + | あなた、今、幸せ? [槇村さとる]
たまには読書してみたり。|mameの福岡進出計画☆
Tempranillo Dragon Vino de la Tierra 2003|☆☆☆ 解決! 美人女医 ☆☆☆

アジアンタムブルー

アジアンタムブルー アジアンタムブルー
大崎 善生

角川書店 2005-06-25
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★★★★★★★★☆☆

今日も外出だったのですが、初めて稲荷山公園に行ってきました。次のアポイントまで時間があったので、コンビニでサンドイッチを買って公園で食べたのですが、平日の昼間ということもあって人が少なくて、緑が多くてとても癒されました。今度、休日に行ってキャッチボールとかしたいなあ。

久しぶりに大崎善生さんの作品です。前作である「パイロットフィッシュ」を読んでからあまりにも時間が経ちすぎていたので、主人公がエロ雑誌の編集者であるということしか記憶に残っていませんでした。それでも十分に楽しめたのですが、前作をしっかりと覚えた状態で読んだらもっと良かっただろうなぁと反省です。

今回は、特にキザな文体が印象的でした。常に陰を持たせたような語り掛けるような文章は、一度しんどくなってしまって読む進めるのを諦めそうになったのですが、それを乗り越えると体が慣れたのか最後まですっと読めました。とにかく、タイトルのアジアンタムが頻繁に出てくる。隠喩というレベルではなく、誰にでもわかるぐらいに明確に比喩しています。

大雑把なストーリーとしては恋人(妻)を失った主人公が過去を振り返りながら、立ち直っていくという話なのですが、後半からばっと盛り上がっていく感じです。病気によって恋人を亡くすというストーリーはありきたりなのですが、そこまでマンネリとした印象を僕は受けませんでした。そこを差別化させるために、大崎さんなりに文体や表現を工夫した結果なのかもしれません。

登場する人物全てが本当に優しい。特に、高木さんとユーカに惹かれました。ユーカとのやりとりの

「人に優しくすることって、やっぱり難しいのね」
「特に僕みたいな軟弱な人間にとってはね。とにかく、その場しのぎの優しさというか軟弱さだから」

が、正に自分のことのようで心が痛みました(笑)主人公の煮え切らないところ、無駄に優しいところなどいろいろなところで自分に被る箇所があって、そこにとまどいを感じながらも親近感を抱いてしまいました。特に

僕は本当に軟弱に生きてきた。
方向音痴で軟弱で、行き当たりばったりに生きてきた。

なんてそのまんまや!!って頷いてしまいました。

この本を読んで、家に観葉植物か水槽が欲しいなって思ってしまいました。今は100均で購入したサボテンが元気に育っているだけですが、お金に余裕ができたら、本気で置こうかな。

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365日自分探し、ブログ:アジアンタムブルー
アジアンタムブルー|僕の人生
マーブル色の日記: アジアンタムブルー
読書日記 嘉壽家堂 アネックス:アジアンタムブルー 大崎善生 角川文庫
嵐の夜、命乞いする彼女に俺はキスをした。 パイロットフィッシュ/アジアンタムブルー
読書日記。 | アジアンタムブルー
飛べない鳥: アジアンタムブルー
内定から始める読書コーナー:アジアンタムブルー
vol.166 アジアンタムブルー|一浪一留・大学院進学→SE内定そしてビジネスオーナーへ
ヒビノキロクw:アジアンタムブルー 大崎善生
Oportunidade* | アジアンタムブルー。

半落ち

半落ち 半落ち
横山 秀夫

講談社 2002-09
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★★★★★★★☆☆☆


一度書き上げてから消えてしまいました。。。時間がない中で更新しているので泣きそうですが、悔しいので完全に忘れてしまう前に書き直したいと思います。

横山秀夫さんの作品を読んだのは初めてだったのですが、想像以上に読みやすかったです。勝手に自分の中では重々しくて硬派な作風だと決め付けていたのですが、内容がかためなだけで文体は非常にやわらかったです。「半落ち」の映画を見ておらず、友達との会話の中でも間違えて「中オチ」と言ってしまうぐらいだったので、いつかは読まないといけないな、と思いつつ読めていなかったのですが、やっと読むことができました。

刑事から検事、検事から記者、記者から弁護士、弁護士から裁判官、裁判官から刑務官と非常に綺麗なバトンリレーが行われていて、元警察官の梶聡一郎をそれぞれの視点から描写しているのがすごく良かったです。

組織の負の面をわかりやすく、明確に表現している作品でした。そのことが嫌な気持ちにさせるのではなく、すんなりと受け入れさせる感覚になったので不思議でした。人が集まれば組織を作り出し、組織が継続されると少しずつ腐っていき、腐った組織は個人を殺していきます。

各登場人物がそれぞれ、組織に殺されたり、屈しなかったり、跳ね除けたり、はみ出したりと違った行動、結果を迎えているのを見て、これは特別なことではなく、誰にでも起こりうることなんだと、少し恐くもなりました。

梶聡一郎と「二日間の空白」という点をしっかりと抑えたままで、物語が進行していくので芯がしっかりとしていて、最後まで飽きることなく読みきることができました。結末も僕の想像、推理では及ばなかった内容だったので、満足です。

横山秀夫さんは読まず嫌いをしていたのですが、これを機に少しずつ読んでいこうと思います。まずは「クライマーズ・ハイ」から読んでみます。

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コンナモノ カラ デキテマス 「半落ち」  横山秀夫
晴読雨読:半落ち(横山 秀夫 著)
片頭痛日記。:横山秀夫「半落ち」。
ツナログ: 横山秀夫「半落ち」
後生楽 : 半落ち(横山秀夫 著)
半落ち/横山秀夫|moody
★ 日記シックスは2人いた ★:読書日記(横山秀夫/半落ち)
その217 『半落ち』 横山秀夫 著|気分は書評 ときどきエッセーのつもり
泣き虫ぽかり@だって・・・女の子だもんっ: 横山秀夫『半落ち』

灰色のピーターパン

灰色のピーターパン―池袋ウエストゲートパーク〈6〉 灰色のピーターパン池袋ウエストゲートパーク〈6〉
石田 衣良

文藝春秋 2006-06
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★★★★★★★★☆☆


1,2,3,4と順調に読み終わっていたのですが、5を実家に置いてきてしまったことに気付きました。読み進むほど中毒度が増していってしまって、5が届くのを待ちきれずに6に着手。読む方に夢中で感想も3から飛ばしていますね。。。

当たり前なことなのですが、巻数を重ねる毎に安定感が出てきて安心して読めます。ただ、それだけシリーズとして物足りなさを感じつつあるのも確か。マコトが前面に出ているストーリーが多かったせいもあるのかな。最近はサルとタカシ、(+ゼロワン)ばかりが活躍している感じなので、他のキャラにもスポットを当てて欲しいな、と思います。

マコト自身もコネクションが増えて、トラブル解決に慣れてしまってる感じが少し寂しい。トラブルが舞い込んできたら、サクサクッとスマートに解決していってしまう。昔のようにぶつかって、悩んで、不器用で不細工なんだけど、出来る限りのハッピーエンドで終わらせる形の方が好きだったな。

ストーリーとしては、「野獣とリユニオン」が本当に良かった。相手のことを理解しようとしないで、自分の中で膨らませ続けて拒絶することは簡単だけれど、少し勇気を出して一歩踏み出すだけで、全然違う未来が開けるってことを教えてくれる作品です。自分が同じような経験をした時に、同じ行動を取ることができるのか、溢れ出てくる負の感情を押し留めて、相手の声に耳を傾けてあげることができるのか考えてしまいました。

人間が野獣に対するとき、どんな態度がもっとも人間的なのか。憎しみを返すために棒でたたくか。目を見て話をするか。実はそれが、あんた自身をケダモノと人間に分ける細くかすかな線なのだ。

そして

きみの罪は消えることはないだろう。でも、ぼくはきみという人間を許すことにする。

となるわけです。その時が来ないと本当のことはわからないけれど、最後まで「人間」ではありたいという結論です。

毎シリーズある少し長めで、少し暗い内容の作品の位置づけの「池袋フェニックス計画」は今までに比べるとそこまで暗いストーリーではなかったので読み易かったです。でも本当にスマートに解決しちゃうんだよなぁ。

引き続き出版されるIWGPシリーズが今後どのように変化し成長していくのか非常に楽しみです。

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ture: 灰色のピーターパン
「灰色のピーターパン」石田衣良|徒然読書日記
「灰色のピーターパン―池袋ウエストゲートパーク」 石田衣良 (文藝春秋)|読むのは誰か?
ふくらはぎの誘惑曲線PARTⅡ:灰色のピーターパン 石田衣良
いつか どこかで:『灰色のピーターパン』
ぼちぼち。 | 灰色のピーターパン
no mystery no life:『灰色のピーターパン 池袋ウエストゲートパークⅥ』
mafuyu あ・ら・もーど 灰色のピーターパン~IWGPⅥ~
ここちいい読書:『灰色のピーターパン』石田衣良
ねこのおなかの日記帳:『灰色のピーターパン』
石田衣良 『灰色のピーターパン』|映画な日々。読書な日々。

少年計数機―池袋ウエストゲートパーク〈2〉

少年計数機―池袋ウエストゲートパーク〈2〉 少年計数機池袋ウエストゲートパーク〈2〉
石田 衣良

文藝春秋 2002-05
売り上げランキング : 55391
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★★★★★★★★★☆

ここまでシリーズ物にはまり込んでしまったのは久しぶりかも!というぐらいにハマってしまっております。現在、すでに第3作目を読み始めています。石田衣良さんの作品はほとんど読んでいなかったのですが、伊坂幸太郎さんとは違った意味で、才能の恐ろしさ?を読めば読むほど感じさせられます。

小説家にとって「目のつけどころが鋭い」「じっくりと観察する」ということは非常に重要だと思うのですが、それに加えてそれを上手く文章として表現することが出来るか、出来ないのかが成功するかどうかの大きな分かれ道なんじゃないかと個人的には思っています。その点で、石田さんの文章の上手さはずば抜けているんじゃないかと。

今回は完全にコラムリストとして定着したマコトが次第に頭が良くなりながら、そして前作よりもトボケた一面も見せながら、やっぱり問題を解決していきます。マコトの温かさや優しさ、涙もろさなどの暖色系のイメージに対して、タカシのカリスマ性、冷静さ、垣間見せる残酷性といった寒色系のイメージの対比が非常に際立っていて楽しめます。対照的でいながら、芯にあるものは同じであるところにも好感が持てます。

そして、今回も周りの登場人物がそれぞれ個性的で魅力的!個人的には喜代治と鉄の二人が好きです。物語的にも二人の登場する「銀十字」が一番良かったです。「少年計数機」も捨てがたいほど面白かったです。あとは、ストーリー自体はやっぱり苦手だった「水のなかの目」に出てくるミナガワ(通り名:肉屋)に強く惹かれてしまいました。いなくなる演出によってさらに惹きつけられてしまったのだと思います。

今回、印象に残った言葉たちです。もう少しあったはずが、付箋を貼り忘れてどこだったか思い出せない(汗)

おれたちはみんな自分の場所にいることしかできない。他人になることもできない。与えられた場所で、全力でなにか大切なものを守る。それ以外になにができるというのだ。(妖精の庭)

無理に誰かをなかよくさせることなんて、誰にもできない。(少年計数機)

七十年の荒波を越えてきた年寄りが、小銭さえゆるがせにできず、目のまえで金をもたない自分を恥じている。ちいさくなったふたりを見て、なぜかおれは猛烈に腹がたってきた。(銀十字)


今週は完全に石田衣良特集?になりそうです。休日はIWGPに行って、喫茶店とかで読むのも悪くないかな。

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久しぶり2|きっと読めばなにかある
ゆきてかえりしひび――in the JUNeK-yard――:少年計数機―池袋ウエストゲートパーク〈2〉
『少年計数機―池袋ウエストゲートパーク2』 石田衣良 [馬に蹴られて]
自己満足的日記 石田衣良著『少年計数機 池袋ウエストゲートパークⅡ』
少年計数機 -池袋ウエストゲートパークⅡ- 石田衣良 白ブタさん
ぎゅうにゅうおおめでかふぇおぅれ:石田衣良 「少年計数機」
読書のひととき ~Mr.Kの読書日記~: 少年計数機-池袋ウエストゲートパーク2/石田衣良
少年計数機 -池袋ウエストゲートパークⅡ-|マリーの本棚  
ごはんと趣味の話: 『少年計数機 池袋ウエストゲートパークⅡ』石田衣良

池袋ウエストゲートパーク

池袋ウエストゲートパーク 池袋ウエストゲートパーク
石田 衣良

文芸春秋 2001-07
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★★★★★★★★★☆

夏休みも終了し、今日から仕事が再開されました。夏休みにしっかりとリフレッシュをしたおかげで体調は万全♪ただ、休みの間に滞っていた仕事に追われて、あっという間に一日が終わってしまいました。

今日の一冊は夏休みの間に読んでいた本です。今更ですが、石田衣良さんの代表作である「池袋ウエストゲートパーク」の第1作目です。文庫本で第4作までと外伝を購入していたのですが、読まずに放置をしていました。今回、単行本の第5作目を購入したので、一気に読み終えるつもりで第1作目を手に取ったのですが、本当に面白いですね。

少年マガジンで漫画になったのを先に読んだせいもあるのですが、主人公であるマコトのキャラクターが非常に明確に伝わってきました。それでいて、作品が進むたびに少しずつそのキャラクターも奥行きを見せ、それがとてもステキでした。

現在、僕の住んでいるのが池袋駅から4駅ほどのところなので、東京のことは全く知らなかったのですが、今年の4月から舞台となっている池袋に足を運ぶこともあり、知っている地名の中で繰り広げられる悲喜劇はそれだけで興奮させてくれました。

マコトだけを際立たせるのではなく、時にはマコトを客観的に突き放した表現をすることで他のキャラクターを際立たせるところや、現代の社会問題に触れたテーマ設定は石田さんらしいな、と思いました。まだ3作品ほどしか読んでいないのですが。。。秋葉原的なマニアックなトークやキャラクターはこの頃から使われていたんだなぁ、と思いつつも僕自身がそういう話が嫌いではないので、その点でも楽しむことができました。

全てが全てハッピーエンドで終わらないとしても、それぞれがしっかりとした終わりを迎えているところも好きです。またそれをマコトをはじめとする、池袋で生活している若者?たちで片付けるところも一貫していて良いです。

個人的には、「サンシャイン通り内戦」が好きです。それまでの3作品では少し人間味を感じさせなかったマコトがこの作品では、感情をあらわにするシーンが連続します。これによって、巧みにマコトの魅力が高まったのではないかと思います。

今回も完全にまとまりのない感想になってしまいました。。。2作目以降がどのように展開されていくのか、楽しみになっている時点で完全に「IWGP」の虜になってしまったようです。仕事の息抜きに少しずつ読み進めていこうと思います。

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SOKKI!

SOKKI!-人生には役に立たない~ SOKKI!-人生には役に立たない~
秦 建日子

講談社 2006-04-07
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★★★★★★★★★★


今日で社会人初めての夏休みが終わります。社会人になるともっと休みが少ないというイメージがあったのですが、9連休もいただけました。夏休みのほとんどを実家に帰って、地元で遊んできました。すっかりリフレッシュできたので、明日からの仕事にも力が入りそうです♪と言いながらもやっぱり仕事が始まるのかー、という気持ちではありますが(苦笑)

ブログの更新を怠っていたせいで、感想を書くことよりも読書をすることを優先するようになっていました。単純に書くことをめんどくさがっていただけなのですが。。。どうも最近は上手く書こう、書こうと意識するあまり文章が出てこなくなってきていたようです。ということに気付けただけでも一歩前進★ということで、これから数週間は書く方を意識していこうと思います。

一度この本は、古本屋さんで見かけて気になっていたのですが、思い切って買うまでの気持ちにはなれずに放置していました。今日、たまたま暇つぶしに立ち寄ったBOOK OFFで単行本が500円均一のセールをしていたので購入。そして、読み始めたのですが、すごく面白い!一気に読み終えてしまいました。タイトルのままの速記のサークルを舞台にした小説で、学生時代の青春を(個人的には)巧みに描いています。

なぜ(個人的には)とつけたかというと、主人公が自分と被りすぎててかなり感情移入してしまったからです。自分に自信がなくて、ウジウジしてて、自意識過剰で。。。(笑)この文章とかぴったし。

自分に自信のあるやつはいいなと、ぼくはこういう時に思う。ぼくは逆だ。自意識過剰で、自分の格好悪さに敏感で、毎日、どうにかして自分の外面を取り繕おうと必死になっている。

普段の自分の思考を表現してもらっている感覚を味わいました。

恋のライバルとなる、主人公とは対照的な好青年の黒田。そして、主人公と黒田が思いを寄せるヒロインの田畑希美はアクの強い、大食らいの酒豪な美人。ぶつかる二人、揺れ動く三人の関係、そしてすれ違い、過ち。これは著者の実話なのでは?!というぐらいにリアルな描写です。ほんとに実話に基づいているのかも。

主人公の話す、四種類の人間の話が印象的。自分も同じことを考えていたからなんですが。自分と他人で甘いか厳しいかの四パターンでどれが理想なのか?ということなんですが、僕はまさに主人公と同じ。単純に自分がそうだからなのかもしれませんが。詳しい答えは本書を読んでのお楽しみで。

学生時代の青春!って感じですごく良いです。彼女がきっかけで「速記」というマイナーなサークルに入り、技術を磨いていく主人公。役にも立たないような「速記」をひたすら頑張る。でも、これも立派な「特技」なんですよね。


僕は「特技」と言えるものなんて持っていないし、持てるだけの努力もしていなかったなぁ、と。前々から思っていたことですが、趣味・特技と言えるものをひとつでいいから作りたいと思います。あ、そろばんはある程度できるか。でも、大人な趣味が欲しいので、もし何かオススメがあれば教えてください♪(笑)

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仮想本棚&電脳日記 SOKKI! 人生には役に立たない特技/秦建日子
今更なんですがの本の話:SOKKI!-人生には役に立たない特技-  秦建日子
本の海のアストロラーベ:秦建日子 SOKKI!-人生には役に立たない特技-
ひらおきBooks 『SOKKI!-人生には役に立たない特技』 秦建日子さん著
まったり読書日記:SOKKI! ―人生には役に立たない特技― 〔秦建日子〕
本を読んだら・・・by ゆうき | ● SOKKI!-人生には役に立たない特技- 秦建日子
読書感想日記:「SOKKI!-人生には役に立たない特技-」
待ち合わせは本屋さんで:秦建日子「sokki!-人生には役にたたない特技-」講談社
uc-road:blog: 秦建日子『SOKKI!:人生には役に立たない特技』
こおろ、こおろ:「SOKKI!-人生には役に立たない特技-」を読む